160714 サマ~

サマ~は日曜だな~と思って眺めてたけど、オールナイトにアニコレとDeerhunterいるの完全なるトラップなのでは?オールナイトからのサマ~2日目とか、三十路越えた身体にはつらすぎるのでは??

というのが目下のところの悩みですどうしたらいいんだ。タニ、8月の海辺に死す。

久しぶりにれでおさんが、そしてこりんちゃんがやってくるという現実を振り返ってみると、なんだか胸が高まってしまいます。わたしはステージの奥のほうで主にフィルに向かってぺかぺか笑いながら飛び跳ねているこりんちゃんを目撃したいんだな。わかりますかこの気持ち。(わかんないよ)

なつみけーしょんはお休みです!2歩氏は出るって言ってたよ!みんな買いに行こう(ダイレクトマーケティング)。わたしも遊びに行けたらいいな、ほどよく涼しいといいな、と願う7月です。あつい。



160510 明けまして音楽と映画。

明けましてどころではなかった、2016 GW明けましておめでとうございます。ログインできなくなって早半年、いかがお過ごしでしょうか。ば、馬鹿じゃないの……ようやく復活できたのでやってまいりました。ここ、見てる人いるのか?

夏はレデオさんが来日とのことで、サマ~に参加しようかなーと思っています。フジにはSigur Rosが来るのだなぁ。フジでSigur Rosとかそれこそ何年ぶりだろう!こちらも見たいのですが、今年はパスの予感……年々足が重たくなるのは年齢のせいなんだろうかと思ったりもするけど、環境が変わってないから単に接点の問題だろうな。ちなみに夏みけも申し込んでおりません。活動はしばらくお休みになってしまいそうです。夏に見たら変わるかしら。俺たちのこりんちゃんは元気かしら。真夏のこりんちゃんにうちわ(ジ○ニーズ仕様のやつ)を振りたい!とこれだけ思っているのは、日本の中でもわたしだけなのではないかしら!!ジャスティス・フォーエバー……!アルバムも出るのかなという感じですね。楽しみです。

ライブも全然行けてないのだけど、近々行くのは月末のM83。ようやく何故か今来日!ライブ自体が久々なせいもあるけど、とっても楽しみにしています。誰か行く人いるかな?

過去のGW明けメモ(ていうか2個前の…おいおい)見てたら映画ポストしてたので、唐突に最近見た映画寸評も置いておきます。ほぼ自分用だ。

「ブリッジ・オブ・スパイ」
なんの気なしに滑り込んで見たら、思いのほか良かったスピルバーグ作品。第2次大戦下、ソ連側スパイとアメリカ側スパイの交換のため、ソ連側スパイのアベル(マーク・ライランス)と、その弁護士についたドノヴァン(トム・ハンクス)の物語。

移民大国アメリカにおける「平等」や「正当性」の権利を真っ当から利用するアベルと、「他国のスパイの弁護人」っていう設定がまず面白かったんですが、マーク・ライランスが全然喋らないし表情もあまり変えないのにも関わらず凄く表情と感情が豊かな人で、今まできちんと知らなかったことをたいへん悔しく思いました。こんな役者さんがいたのか!(と思ったら舞台で数々受賞してらっしゃるんですね、納得)  人の命の重さは変わらないと頭では思っていても、現実では偏りを見せてしまうし、演技でもそう思えてしまう。アベルは利用して、ドノバンがわだかまりつつも真摯でいて、最後同じ地面に立ち同じ方向を見て踏み出したときに、もうそれ以上は2人の間が離れていくだけなこと、戻るべきソ連側の車に押し込められたアベルの背中が小さくて泣ける。

「キャロル」
作品上キャロルが圧倒的にキラキラした魅力がないといけないキャラクターに仕上げたと思うけど、それにしても演じたケイトさま、あんなキラキラはなかなか出せるもんではない。ルーニー・マーラちゃんの前後変貌っぷりも素晴らしかった~。2人がお互いに恋に落ちる(まさに「恋に落ちる」て表現でした)けど、落ち方と感覚の違いがおもしろい。それは経験や年齢の差、立場の差かもしれない。個人的にはキャロルとテレーズが最初に食事をした場面、日本語では「あなた(テレーズ)は天から落ちてきたようだわ」と小さく呟くけど、テレーズにストンと落ちてしまって、かつそれに動揺しているようでもあるキャロルが凄く良かった。あと音楽とカメラワーク、遠巻きに映す感じがとても好きです。

「サウルの息子」
こちらも第2次大戦下、収容所でユダヤ人虐殺を行ったゾンダーコマンドを描いたハンガリー映画。収容所で殺された人間たちを処理するゾンダーコマンドがサウルなわけなんだけど、もう感情とか善悪とかじゃなくて「処理」なんだよね。そんななか収容所で死んだ息子?を見つけて、見つけたけど感情が表に出なくなってしまっていて(たように思えた)、だけどきちんと埋葬してやりたくてもがいて、もがいて、ていう。息子の顔もほとんど出てこなく、淡々と手持ち長回しでサウルの表情を捉えるんだけど、閉塞感と孤独とドラマじゃない現実というか、心はざらっと乾ききったような、足元は腐った水が染み込んだ服のにおいのような……。これが歴史のちっぽけな一部という現実と、その影が深すぎてつらい。幸福を描いては、望んでは、残るのは絶望だ。それが戦争の現実だ。というような。

「レヴェナント」
毎回この話題になると一丸になる感のある賞レース、レオおめでとう!イリャニトゥ作品は毎回モヤモヤしてるのかなんなのかわからないまま「えらいもんを見てしまった…」感を抱えて劇場を出てくるんですが(…)、レヴェナントは割とスッキリしてましたね。「復讐と、それによって何が起きるのか」ていうわかりやすい題材だったからだろうか。そう思うとイリャニトゥっていうか、レオというか、本作についてはルベツキ(撮影監督)が凄すぎた……という感じもします。

死んだ息子と生きてる親の肌質の差の表現が凄かったな。冷たいから表面が凍って霜が降りてるんだけど、あれはメイクさんの技量というか。イリャニトゥ作品で一酸化炭素中毒死した人間の肌質もやばかったの思い出した。同じ人なのかしら。

「スポットライト」
ボストンタイムズ社のスクープ「スポットライト」で、カトリック教会のスキャンダルを描いた物語。カトリック教会っていう世界を股に掛けているもの、信仰や信条であり支え、そういった大きなものが、スポットライトチームのあの小さな部屋で大きく揺れ動いていく対比とか、心情の揺れみたいなものが真摯に描かれていて、とても良かった。

ボストンてアメリカの中でも割とリベラルな感じがするけど(実際のところはわからないけれど)、やっぱり宗教って言う根底に根付いたものって人によって程度は違えど「信じている・信じたいもの」だと思うんですよね。アメリカという移民国家ていう面も影響しているかもしれない。心のよりどころというと大げさに聞こえるかもしれないけど、支えであり教えというか。特に映画で描かれていたように、貧困に暮らすカトリックの子供たちにとってはそれが世界のひとつだと思うし、だからこそ現実がより残酷に感じた。「(例えそれが過ちだと)わかっていても信じていたい」っていうのは凄く人間らしい愚かさであり愛すべきところのひとつだと思うけど、だからこそ認めたり発言したりするのは非常に苦しいと思う。現実的に起こっている事実を付け合せて描くっていうのは、地元に根付いてかつ権力あるメディアがやることに意味があったようにも思うし、それでいてチームのひとりひとりが「一個人として、人間として」わだかまりを抱えている描写も、凄く人間らしくて良かったです。ラファロさんのキャラクターの、一見にして子供っぽいような純真さというか熱さ笑、あの陽気な感じは救われますね。納得のオスカー作品賞。

あと音楽!ハワード・ショアなんですね。良かった。

「JOY」
アイデア商品の発明で成功した実在の主婦ジョイの物語、主演はジェニファー・ローレンス。これはね~個人的にはあんまりスッキリしなかったなーというのが正直な感想。家族や仕事のために自分を犠牲にして鬱憤抱えたジョイが、ある日の発明で奮闘していくんだけど、そんな状況なのでジョイのストレスフルな感じがひしひしと伝わってくる笑。そういう奮闘のイライラ感はいいんですけど、ロスの交渉行くところとか、なぜその容貌容姿にした?というか…いきなり別の作品見てるみたいになっちゃって、「あれ?」て成ってしまった。デニーロにブラッドリー・クーパーと出演者も豪華だったけど、いまいち物語に乗り切れない感じもした。なんだろうなぁ、それぞれの関係性が希薄で唐突に感じたからだろうか。わたしが疲れていたからだろうか。ウーン!

「ズーランダー2」
当初ベネディクト・カンバーバッチ演じるオールちゃんの話題で持ちきりだったけど、その印象ばかりでいたらファッション業界からの参戦組が豪華で豪華で仰け反った。それにしてもおバカ映画というか、なんか見てるときも見終わったあとも良くも悪くも「ヤバイ」しか出てこないの凄くないですか?本作中ひとつキーと思うんだけど、いわゆる「ナウい」部分が「ナウく」なかったのがいまいち乗り切れない部分なんじゃないかなと思う。でも金かけてすっ転んでる感じ、嫌いじゃないよ(ここで親指を突き出す)。これにもブラザー・グリムズビーにも出てるペネロペ先輩をそろそろ崇拝せざるを得ない。

「グランドフィナーレ」
引退した名音楽家が、人生の終わりの段階になり考える愛や家族、友人たち、自分のこと。と描くと陳腐なんですが、何かとシュールだったり一筋縄で行かないのが本作でした。父娘モノに弱いのですが、第3者が(に)語るシチュエーションというのも凄く好きで、マイケル・ケイン演じる主人公フレッドが、自作の名曲の指揮を二度としない理由を語るところで泣いてしまった……。かたちの変わらない愛情、立ち止まっている愛情、歩き出そうとしない娘(レイチェル・ワイズ)の父への苛立ち、なんとも人間くさい面倒くさい限りなんですが、映像と音楽の美しさだったり、ポール・ダノ演じる青年の不穏チャラい感じ(笑、ダノすっごく良かったです!)、不思議と引き込まれる。自然の音を指揮するケイン御大の少しファンタジックな演出も、変に浮いた感じとかもなくて良かったな。ゆっくり良い音楽が聴きたくなります。

「オデッセイ」
お・い・も!お・い・も!あんなにマット・デイモンが可愛く見える日が来るとは。最低で最高の音楽センスのコマンダー最高~っ!!ジェシカ・チャステインが大好きです。凄く楽しかった。



150813 なつみけーしょん

お知らせでございます!

直近のお知らせで申し訳ないのですが、今週末なつみけーしょん欠席させていただきます。……わーん!仕事の予定がみっちりであった。なんだかんだ欠席するの初めてなので胃が痛い。スペース取れていたのですが、大変申し訳ございません。。。引き続き冬は申し込み予定でございます。ご迷惑お掛けします。

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そういえばジョニーが007テーマのスコアを書くとか言う話題があがっていたけど、あれは事実なんだろうか?あと、おトムのほうはブロードウェイのほうでスコアを書くとかなんとか。コンスタントにこういうお仕事で出てきてくれるの嬉しいな~。おトムサマーなオールナイトも行けないんですが、死、、、通常来日してください。あとこりんちゃんは元気なんだろうか?全然話題が引っかからなくて彼は今何を……。

そんなこんなですが来月また西のほうに行く機会がありそうなので、かつケンブリッジも立ち寄るかもしれません(!)ので、30年くらい前を想像して深呼吸でもしたいと思います。Kid C。



150603 映画の感想いろいろ

お久しぶりです!5月中に書こうと思ったら入梅目前になってしまった……。GWにまたぶらぶら国外を旅していたのですが、機内で見た映画とか帰ってきてとかでどどっと映画を見たので、新旧問わず書いたことないタイトルの短めの感想を。ネタばれもありますのでご注意ください。(日本ではこれから公開のものも含みます)

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「英国王のスピーチ」
言わずもがななアカデミー賞映画。今更見ました!吃音に悩まされた英国王ジョージ6世(コリン・ファース)と、その医師ライオネル・ローグ(ジェフリー・ラッシュ)の王と医師の関係を越えた友情の物語。これはアカデミー取る系の映画だな~っていう内容もさることながら、メイン張ってるコリン・ファース、ジェフリー・ラッシュ、ヘレナ・ボナム=カーターの演技はさすがですね…。ジェフリー・ラッシュは見るたびに印象全然違うな!不得手なものやプレッシャー越えて、時にはユーモアを交えて、ていうのは共感得やすい映画だと思うけど(…まぁ国王レベルではないけどさ、国王も一人の人間なので…)、それぞれの関係性が本当に良かった。途中ジョージ6世が妻に向かって「ムリだ」て弱弱しいとこも、スコットランドに向かう車でキャッキャしてるとこ(KAWAII)も、おま、夫婦~~っ抱きしめたい!なんてかわいいんだーっ!!「I HAVE A VOICE(わたしには伝えたいことがある)!」の畳み掛けも良かった!そして戦争へと向かうものではあるものの、ラストのスピーチのあの間。信頼関係。名シーンです。2時間でスッキリ収まる良い映画でした。ベタニーが断ったらしい英国王、そのバージョンも見たかった……。

「イミテーションゲーム」
どうもベネさん食わず嫌いなところがあり、見るのは「裏切りのサーカス」以来かもしれない。エニグマを作った数学者アラン・チューリングの物語。ちょっと自尊心強くでも弱冠内気な小難しい役をよくやってらっしゃった笑。結局のところ、エニグマ(ドイツ軍の暗号解読器)が使われたのは2年程度?と聞いたし、ラストシーンの機械を見つめるアランの状態(ついでに同性愛者として罪にかけられている)を見ると、大切な過去を引きずったまま(引きずるしかない?)のアランに切なくて涙が……。マシュー・グードの役柄も良かったな。斜に構えた二枚目だけど、熱があって良かった。

「博士と彼女のセオリー」
これまたオスカー撮っちゃったよレッドメイン君のホーキング博士。天才的な物理学者である彼と、それを支える妻のお話……でいいのかな。ホーキング博士自体は当然知っているものの、車椅子になる前とか全然知らなかったので普通に自伝的に見てました。予想以上にかなり奔放な性格でびっくりしました笑。わたしは基本的に数学者や物理学者=ロマンチストだと思っているので、そういう面も見れて良かったな。奥さんの立場からしたら、選んだとは言え不条理なことばっかりで気軽につらいだろうなとか言えない…その辺は女性からすると共感が得づらい部分かもしれない笑。後から気付いたけど、音楽ヨハン・ヨハンソンなんですねぇ。大活躍。オスカー取ったのはレッドメイン君だったけど、個人的にはフェリシティ・ジョーンズの演技が良かったな~って思う。

「キングスマン」
日本9月11日公開です!!これね~~ちょ~~~面白かった。「キック・アス」を作ったマシュー・ボーンの最新作、なぜか日本だけ公開が大幅に遅れ、その間にBD出ちゃうよ~。イギリス人による皮肉とブラックジョークたっぷりのスパイアクションコメディ。007とかのオマージュもあり。コリン・ファース演じるエージェントのハリー・ハートはステレオタイプなザ・英国紳士なんだけど、実はスパイ。君のお父さんにわたしは命を救われたんだ…つってイマドキのイングランドワーキングクラスの青年(タロン・エガートン君、この人も将来楽しみ)をエージェントに推薦、そしてこれまたステレオタイプなアメリカ人エコテロリスト(サミュエル・L・ジャクソン、胡散臭すぎて配役チョイス完璧すぎる)と戦う……ていうありがちなやつです(…)。でもこれの凄いところは、イギリス人によるイギリス人の皮肉、エージェントは円卓の騎士モチーフ、アメリカでの殺戮シーンは保守派に人気だったアーティストの楽曲、みたいに知識あると分かるネタで固めてきているところです。バックボーンの確立なんて当たり前のことかもしれないけど、これ入れ込んできてドンパチってなかなかアメリカでは……笑。なので、自分が知らないネタももっとあって、本当はさらに楽しめるのかもしれない。文化レベルで言葉やモチーフの意味が知りたい。ハリーの部屋なんてThe Sunが貼られてるんだよあれだけで笑うよ……早くでかい画面で見たいです。マーク・ストロングも良かったな~コリンとマークは足のラインが素晴らしいので、最近見ると「足が…」しか言っていません。タロン君も、本当「今のイギリス人の若者てこんな感じだよねー!」て感じですっごい良かったな~。ましゅぼんなので、アクションシーンのアメコミ画角最高。9月11日公開です(大事なことなので)。この後コリン熱が火が吹いて、ただいまコリン月間中。

「Diorと私」
Diorのデザイナーに新たに就任したラフ・シモンズと、彼によるファーストコレクション発表までの数週間(短い!)を追ったドキュメンタリー。ファッション系の映画もちょいちょい見るけど、そのなかでも結構良かったな~。失礼ながらラフのことをずっと子犬のような人だなと思っていたけど、失礼ながらそれが確信に変わったのであった(…)。クチュールやってるメゾンなんて一握りだし、そこに入るプレッシャーとか新たなアプローチとか、そもそもこんな短期間とか、ファッション業界は伝統と革新が凄いな…かつビジネスなわけだし……。美に対するアプローチが面白くて、そういうところにも目が行った。お針子さんたち含め、メゾン全体がチームでやっているというか、それぞれのプロフェッショナルな姿勢も素敵だなと思いました。ショー会場の壁一面の花とか最高にカラフルで美しいシーンだけど、一番印象的なのは、ショーが始まって緊張と開放と色んなものでラフが泣き出しちゃうシーン。パートナー君がラフのほっぺたをぺちぺちしてあげるとことか、人間を感じられて良かった。ラフは服装シンプルだけど、靴がいつもかわいい。

「アドバンストスタイル」
ニューヨークのおしゃれなマダムを撮影したブログ発、なドキュメント映画。なかでも6人のマダムをピックアップして、彼女たちにとってのファッションとはなんなのか、みたいなところをインタビューだったり色んな形式でまとめてます。映画の内容としては正直そこまで刺さるものはなかったんだけど(というより、ああ~アメリカ~!みたいな文化の違いですね)、マダムたちがめっちゃおしゃれでかわいいので、流し見るには良いんじゃないかな。ファッションとして特に好きだったのはジポラさんと、あのシックなオペラの方……。あと映画の最後のほうのパーティーシーンにちらっと発見したベアトリクス・オストさんはもっと見たかった~~。おしゃれ映画は気分が上がるので良いです。

「リピーテッド(before I go to sleep)」
コリン月間なので期待せずとも見てきました。だってコリン・ファースとマーク・ストロングまたまた競演だよ~それだけで見る価値あるよ~~みたいなミーハー魂。1日しか記憶が持たない女(ニコール・キッドマン)とその夫ビル(コリン・ファース)、主治医のDr.ナッシュ(マーク・ストロング)が絡むミステリー作。わたしは誰なのか、そして相手も誰なのか、今あるこの生活は本当に今ある生活なのか……。前評判もそんなに良くはないし前述どおり期待しないで行ったんだけど、終わりのほうが微妙だったからかな。前半は普通におもしろく見れたけど、最後半とエンディングがウーン、て感じでした。謎なまま終わるところもあるし……(わたしだけか?)。脚本関係なく事実内容だけで見ると、コリンの役はやわらかいのに本質的にめっちゃこわいし、あの変化の演技は素晴らしかった。マークのDr.とかありがとうございましたーっ!良い役者さんです。

「A SINGLE MAN」
墓まで持っていくタイトル10のうちに入る「シングルマン」、だけど人には全然勧めません!見る人が何歳かとか立ち位置によって、受け取る感覚も違うと思います。ファッション業界の申し子トム・フォードの初監督作品。長年暮らした恋人にある日突然先立たれ、希望もなく味のない日々を暮らす中年男性は、とうとう自殺を考える。「最後の日」と決めたら今まで素通りしてたものが輝いて見えてきて……その1日のお話。60年代のLAが舞台です。ファッションとかデザイン系の人が映画をつくると当たり外れ結構大きかったりするけど(雰囲気でおわるとかね)、この映画は全体的に作り方がとてもストイックで繊細、色・香りの表現、インテリアとか陰影、登場人物の描き方……とか、トム・フォードに全部明快な意思があったんだろうなって感じる(彼は脚本も書いてます)。そしてそれにコリン・ファースの繊細な演技が際立っていた。演技だけで言うなら、彼の演技の中で一番好きな作品かもと思う。暮らしている家(通称グラスハウス)がわたしの理想過ぎて、今すぐ買い取りたい…。色んなモチーフが出てくるけど、全部に意味があって無駄がないところもストイックに感じる要素かも。それでいて、クスッと笑える要素も入ってくるところが本当に凄く罪深い映画です。出会ってまだすぐの頃と思われる、キスしようとしたジム(マシュー・グード)にジョージ(コリン)が「やめろ、グラスハウスに住む勇気もないくせに」て言うシーンと、何よりジョージとジムがカウチで向かい合って他愛もない話をしているシーン(これはジムが亡くなる直前の設定)、ジムの「そこにいなよ、オールド・マン」て言ってジョージのおでこにキスして立ち上がるシーンが本当に好き。2人の人生すべてが丁寧に詰まっている。ケニー(ニコラス・ホルト)は「今」、カルロス(ジョン・コルタジャレナ)は「一時の揺れ」、チャーリー(ジュリアン・ムーア)は「リラックスできる時間」の象徴。未来を失い過去に生きる男が、今を知るお話。好きです。

「アパートメント・ゼロ」
こちらもコリンの過去作品、まだ彼が20代のころのアルゼンチン/イギリス映画。潔癖症で人間嫌い、廃れた名画劇場を経営する難儀なエイドリアン(コリン)が、お金なくてアパートの同居人募集したところやってきたアメリカ人ジャック(ハート・ボックナー)を受け入れたところから何かが変わり始め……というミステリー・スリラー作品。本当コリン・ファースは良い役者さんだな…ていう細かな演技と目の表情。そして顔かわいいのに声は今とほとんど変わらない低い声だから、違和感があっておもしろい笑。寸評だとゲイ映画とか書かれてるけど、そもそもゲイ映画とは何なのか自分がわかってないうえに、あんまりそんな感じはしなかったな(ゲイ映画てジャンルなのかもしれないけど…)。そういうシーンあったか?個人的には、エイドリアンは外界と付き合い始めたばかりの子供のようなスタンスで見ていた。ジャックはみんなから愛される性格だったけど、本当は別の顔を持っていた。でもエイドリアンにとってはジャックこそが外界で、必死だったんだろうな。執着心や独占欲、人付き合いもろくにせずそのまま大人になっちゃった不器用さみたいな不安定な要素が母親の死によってより脆くなり、異常さが増し……でも本人からしたらそれが普通でそれしかない、みたいな。まさにスリラーです。この映画は80年代に製作・60年代のブエノスアイレスが舞台だけど、でもこういう独特の空気感って今のスペイン語圏の映画にもまだまだ通じている気がする。生っぽさというか。ハッピーバッドエンドっぽいけど、ハッピーバッドエンドですって言い切れない染みみたいなものが見た後に残る。

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まだまだ見たいの多いし見る予定もあるので、自分メモ的に書いていきたいところです。
見たいときには一気に波が来て、プツっと抜け殻になるのをどうにかしたい!



150327

ブラックキーーーーーズ(お察しください)。

パット早く元気になってください おま お前 ガタガタ